2019年4月から『改正労働基準法』が施行!!


2019年4月1日に新たな年号『令和』が発表され、大いに賑わう裏で、10年振りに改正労働基準法が施行された事を知る人はあまり多くないと思います。

労働基準法といえば、多くのサラリーマンや企業で働く人達にとっては非常に大事な法律です。

賃金休暇労働時間解雇残業労働有給休暇など幅広い部分で関わってきます。

本来「企業」と「労働者」は平等な立場でなければならないのですが、度々問題が起こりやすいのは企業側が労働基準法を守っていない事に原因があります。

今日は、企業の人事部という立場から見た、新しい労働基準法について出来るだけ分かりやすく解説していきます。

※労働基準法はかなり細部にまで渡るので一般的に知られている部分のみ説明致します

労働基準法ってどういうもの?

『労働者を保護する』ために作られた法律です。

労働基準法で決められた最低基準を下回らないように労働者を保護しています。

労働基準法で決められている最低基準

①均等待遇

国籍」や「信条」、「社会的な身分」を理由に賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取り扱いをしてはならない

※信条とは宗教や政治的思想等の事、社会的身分とは生れ付きの身分や環境等

つまりその部分以外については賃金や労働条件に差を付けても良い事になっています。

②男女同一賃金の原則

使用者は、労働者が「女性」であることを理由として「賃金について」、男性と差別的取り扱いをしてはならない。

職務能力や年齢、勤続年数によって賃金に差があるのは問題ありません。

差別的取り扱いとは不利な扱い有利な扱いも含まれます。

③強制労働の禁止

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他「精神」又は「身体」の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない

強制労働の禁止を違反した場合は労働基準法で最も重い罰則が科せられます。

1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金

④労働条件の明示

1.使用者は、労働契約を結ぶ際に労働者に対して「労働条件」を明示しなければならない。

2.労働者は「労働条件」が事実と違う場合は即時に契約解除することが出来る

3.2項の場合、就業の為に引っ越しをした労働者が解除日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費を負担しなければならない

労働条件は働く側にとって重要な契約になります。しかし、労働条件と事実が違う場合、労働者は契約解除する事が出来ます。

その際に引っ越しをして、実家等に帰郷する旅費については使用者が負担することになります。

この費用は交通費食費宿泊費はもちろん、一緒に引っ越しをした家族の分も含まれます

⑤解雇の予告

1.使用者は、労働者を解雇しようとする場合は少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合、又は労働者の責に帰すべき事由に基づく場合は必要ない。

2.前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合はその日数を短縮できる。

不当解雇の問題は常にあります。労働基準法では『合理的な理由のない解雇は無効』という考え方が確立されており、よほどの事がない限り使用者からの一方的な解雇は出来ないのです。過去の判例でも『寝坊を繰り返す労働者を解雇』したことは『無効』との判決が出ています。

⑥労働時間

1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない

2.使用者は、1週間の各日については、労働者に休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

これはとっても重要な箇所です。法で定められている労働時間は上記の通りです。しかし、『あれ?じゃあ残業って違法?』って思った方は下記をご覧ください。

⑦36協定

1.使用者は、労働組合がある場合にはその組合、無い場合には労働者の過半数を代表する者と協定をし、労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる

通称「サブロク協定」とも言われる、この労働基準法第36条があるため、残業することが可能となっています。過半数を代表する者(総務や人事部等)が会社と書面を交わしています。

ここが改正ポイント!!

36協定を結べば、月45時間、年間360時間までの残業労働が認められていました。

また、「特別条項付き36協定」を結べば、上限なく残業を延長することができました。

しかし改正後は、特別条項付き36協定を結んでも『2~6ヶ月間の平均で80時間』を超える、もしくは『1ヶ月100時間』、『年間720時間』を超える残業労働はできなくなります。

原則として月に45時間を超える残業は出来ません。毎日2~3時間残業をすると45時間は超えてしまいます。私の前職は月120時間残業など結構ありましたが…。

ここから主な改正労働基準法です!!


⑧年次有給休暇の取得義務化(改正)

今回の法改正によって、年間10日以上の有給休暇を付与される労働者、(パート、アルバイトを含む)に、使用者は『1年以内に5日以上の有給休暇を取得』させることが義務化されました。

世界と比べた日本の有給休暇事情

日本の有給休暇の取得率は世界からみても最低水準です。これは会社の立場から見ても、「休み=不真面目」というイメージが頭の片隅にあり、労働者からは人手不足で迷惑をかける罪悪感を感じて『有給が取りにくい環境になっている』と言えます。

取得義務化は働き方改革にとっても必要な改正だったと思います。

⑨フレックスタイム制の期間の延長(改正)

フレックスタイム制とは、労働者が自由に出勤・退勤時間を選べる制度です。


これまでフレックスタイム制の期間は主に毎月1日から1ヶ月の間でした。しかし月をまたいでの調整ができず業務の非効率化が問題でした。

今回の改正で、期間が3ヶ月まで延長可能となります。

フレックスタイム制で働いている人といえば、エンジニアやデザイナーなど裁量労働を持っている人達が多いです。法改正により、月をまたいでの業務が可能となります。

⑩高度プロフェッショナル制度(改正)

この制度は年収1,075万円以上の一部の専門職の方が対象です。

以下がその専門職です。

・金融商品の開発業務
・金融商品のディーリング業務
・アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)
・コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)
・研究開発業務

高度プロフェッショナル制度を適用された労働者は、勤怠管理の対象外となります

そして『健康確保措置』が義務化され、年間104日の休日に加えて、

① 労働時間の上限設定
② 退勤から翌勤務までに一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル
③ 連続2週間の休日取得
④ 残業80時間以上での健康診断

のどれかを選択します。

勤務間インターバルとは?

「勤務間インターバル」は、勤務終了後、翌勤務まで一定時間以上の「休息時間」を設けることで、生活時間や睡眠時間を確保するものです。

2019年4月1日現在では使用者の努力義務となっています。

すでに施行されたインターバル制度ですが、有給休暇と同様に取得する事が難しい制度になります。使用者側の努力義務ではほぼ意味が無いので…。

インターバルを導入すると、残業時間と始業時刻が変わってくるので、労働時間の算出が難しくなります。

インターバルの時間に法的な規定はありません。今のところ時間設定は使用者の判断になっています。すでに採用している企業では8~12時間で設定しているケースが多いようです。今後の運用方法に注目が集まっています。

以上が主な改正労働基準法のポイントになります。

ある程度基本的な事は知っておいて損はしないと思います。

私達がより良い働き方を求めることは権利であり、法によって守られています。

一部のブラック企業と呼ばれる会社があることで、会社の立場が上に立っているという間違いなイメージが作られてしまっています。

労働者と会社の立場は平等』これが正しいのです。